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「GQ JAPAN」(2014年10月号)で、チームラボ猪子の連載。

「文化の作り方」は非連続である

本連載の第12回は「文化は連続している」というタイトルでした。文化の本質的な部分というのはジャンルを超えて、無自覚に非言語的に連続していくものだという話です。その時は、歌舞伎の「見得」や仮面ライダーの「変身」、メイドの「萌え」、そしてアイドルの「振り付け」などは、一見すると無関係な文化に思えますが、実はポージング文化であると見ると連続しているのだ、というお話をしました。
けれども、作り方とか方法論というものは、まったく連続性がなく非連続であると考えています。
例えば、最近、世界的に流行したアニメ映画「アナと雪の女王」は、アニメの本場と言われる日本でも大ヒットしています。実際、歴代のアニメ映画のなかでも、日本国内での興行収入が「千と千尋の神隠し」に次いで2位となっています。20世紀末は、日本のアニメが世界最高峰だと言われていました。けれども、気がついたらピクサーと合併したディズニーが世界で圧勝しはじめています。ピクサーは、CGによる新たな表現と新しい作り方を信じて、これまでのアニメとは違った作り方や方法論でアニメを製作しています。実は、ディズニーは、自社で何度かCGにトライしたけれど失敗したといいます。しかし、ピクサーと合併することによって、新しい時代を乗り越えようと試み、そして、実際に乗り越えることに成功したのです。一方、日本では、大御所がCGという新しい方法論を否定し、これまでのやり方にこだわると宣言したことが日本の中で美談のように語られていました。もちろん、個人としてそのようなスタイルを採りつづけるのは良いのです。しかし日本では、新しい方法を否定して従来のやり方にこだわることが、職人的でかっこいいという美談になっていたのです。そして、アニメそのものも、いつのまにか世界的な競争力を失いつつあります。ピクサーのような、まったく違う方法論を持つ会社が、いまや世界で、結果的に最高峰のアニメをつくっているのです。  アニメやアイドルと文化的な連続性を感じる初音ミクも、もちろん、これまでのそれらと、作り方や方法論がまったく違います。それは、スマートフォンが、携帯電話の延長上にあるように見えても、その作り方、方法論がまったく違うことに似ています。実際、スマートフォン分野のビジネスを手がける主要なプレイヤーも、携帯電話時代とはまったく違うということに似ています。初音ミクという、ポップスみたいな文化的ジャンルが、今までとまったく違う方法論によって生まれているのです。一見同じように連続している文化であっても、まったく非連続な方法論によって作られたものに取って代わられるという現象です。
(本文より抜粋)

GQ JAPAN

GQ JAPAN(2014年10月号/コンデナストジャパン)
2014年8月23日(土)

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