MEDIA

2014.10.24

「GQ JAPAN」(2014年12月号)で、チームラボ猪子の連載。

連載「日本、アジア、そして21世紀 拡大版」
第十六回「
アートで踊り、遊園地で学ぶ」


チームラボの代表・猪子寿之が、変わりゆくメディア環境を思索する人気連載。今回は、「鑑賞」から「参加」へ、というお話。


僕らは、今年2014年の11月末から、「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」という展覧会を、東京のお台場にある日本科学未来館で開催します。この展示では、タイトルでも分かるように、「アート作品の展覧会」と、子どもたちが自由に描いた魚が泳ぐ水族館などのアトラクションがある「未来の遊園地」を一緒に展示します。アートと遊園地、このふたつを、なんで合わせて一緒に展示するのかという話を、今回はできたら良いなと思います。


2012年の春から夏にかけて、チームラボは国立台湾美術館(National Taiwan Museum of Fine Arts)で、美術館での個展をはじめて行いました。アートからプロダクトまでを含めた19作品にも及ぶ個展です。当時、僕もびっくりしたことなのですが、週末になると、その美術館は子ども連れが非常に多くなります。親は、子どもに現代アートに触れてほしいという思いが強いのでしょう。そして、子どもが美術館の中で騒いでいるのです。そこの人々は、子どもが騒ぐことは当たり前だと思っているのでしょう、子どもは美術館でも騒いで良いのです。僕らが展示した作品の中の一つに、同じ空間で大勢が同時に関わることができる作品があったのですが、そこには子どもが大勢集まり、大はしゃぎを続けていました。子どもたちは、共同で、とても知的に創造的なことを行っていたのです。


その様子を見て、普段はあまりアートに興味を持っていないチームラボのメンバーの一人──チームラボは多様なので、そんな人もいます(笑)──が、彼は子どもが二人いるのですが、日本で自分の子どもにも同じ体験をさせたいと、突然、そして強く言い出したのです。それがきっかけで始まったのが、チームラボの「学ぶ!未来の遊園地」です。そう、日本でも、子どもがアートに触れながら、同じ空間で、他の人々と、共同的で創造的な体験をしてもらいたい。そう思ったのです。自由に騒げる空間で!


一方、その間、チームラボは、“チームラボ”という個人名ではない現代アーティストとして、世界各地でアートを発表したり、展覧会を開いたりしてきました。

人類は、デジタルという概念を手に入れました。それは、便利だとかコストの革新だけではなく、美の概念を拡張できることだと僕らは信じているのです。例えば、人とアートの関係性を劇的に変えることだと考えています。見て感じるだけではなく、より参加し、体感するものへと変えることができるのです。そして、人々のふるまいそのものが作品を変化させるのです。個と作品の関係から、集団と作品の関係へと変えるのです。そう、作品の前の人々の関係性にも影響を与えるのです。


また、作品を創るというプロセスも広がります。僕らは、「デジタルという新たな方法論によって、古来の日本の空間認識の論理構造を模索する」というサイエンス的なアプローチを試みているのです。そしてそれを再利用することによって新たな視覚体験を試みたり、近現代の人々の世界の捉え方への問いを投げかけたりしています。古来には、人類が長年培ってきたにも関わらず、近代社会とは相性が悪かったために捨てられたものがあり、その中に、新しい社会のヒントがあるのではないかと信じているからです。


少なくとも、古来の日本の空間認識の論理構造は、作品に参加し、体感する、つまり、作品が人々の振る舞いによって自由に変化することだとか、人々が空間の中を自由に歩き回りながら体感することと、相性が良いという発見をしたのです。そう、近代に捨てられた日本の古来の空間認識は、デジタルによって、再び、花開くのです。鑑賞者は、じっと止まって鑑賞する必要もなければ、作品は、変容的にも関わらず美しさを維持できるのです。鑑賞者も作品も、より自由になったのです。そう、人もアートも、踊れるのです。


2014年の夏は、はじめてニューヨークで、Pace Galleryというすばらしい場所で個展を開くことができ、大きな話題となり、大盛況に終わりました。そして、今回、やっと東京。日本では、チームラボとして、一カ所で行うはじめての大個展です。そして、その場所が、偶然にも「National Museum」である日本科学未来館(National Museum of Emerging Science and Innovation)なのです。本当は、もともと同じ場所からスタートしたアートと遊園地を、もう一度、くっつけて展示することにしました。日本でも、子どもは、アートに触れて騒いで良いのです。もちろん、大人も。


そして、「学ぶ!未来の遊園地」は、大人だけでも、楽しんでほしいのです。なぜなら、大人もまた、共同的で創造的な体験を楽しんでほしいからです。たまには、創造性にあふれるデタラメな子どもたちに紛れながら。そして、もともと、「学ぶ!未来の遊園地」は、子ども用ではなくて、僕らが僕らにとっておもしろいと思うものを創っていたものなのですから。


GQ JAPAN(2014年12月号/コンデナストジャパン)
2014年10月24日(金)

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