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2002.05.10

明治製菓 抗生物質開発 病原菌ゲノム活用 耐性の働き解明

掲載紙 : 日本産業新聞 出版社 : 日本経済新聞社 掲載日 : 2002/5/10 掲載頁 : 1面

明治製菓は病原菌のゲノム(全遺伝情報)を活用した医学品開発に着手した。富士通とゲノム分析システムを共同開発、同システムを使って病原菌の抗生物質の対する抵抗力(耐性)に関系する遺伝子を特定。その遺伝子の働きを抑える抗生物質を開発する。今後十年以内に新薬の臨床試験を終え、厚生労動省の製造認可を取る考えだ。  MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)など、抗生物質への抵抗力が強い耐性菌による院内感染が深刻な問題になっているが、これまでは耐性菌に効く薬を幅広く探すしかなかった。新しい抗生物質を開発しても、その薬の耐性を持つ病原菌がいずれ出現し、いたちごっこになる。  ゲノムを活用し、耐性に関連する遺伝子を抑える新薬を投入できれば、耐性菌の問題が解決できる可能性がある。明治製菓ではペニシリンへの耐性が出現、問題になっているインフルエンザ菌「ブルナール」などに有効などに有効な抗生物質の開発などを進める方針だ。  新薬の開発はまづ耐性性の染色体上にある耐性関連の遺伝子部分を持つ前の病原菌と比較し解説。自社調査や公開情報で蓄積した病原菌の耐性に関するデータベースなどと照らし、薬剤耐性の遺伝子を予測する。これらの作業を富士通と開発した分析システム「MEIBIS」で行う。  予測した遺伝子を人工的に組み込んだ菌に抗生物質を投与し、遺伝子の働きを確認する。従来は耐性菌の遺伝子特定に一年かかったが、システム化により一ヶ月程度に短縮したという。  医療研究機関から提供を受け、黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌、肺炎球菌のうち薬剤耐性を持つ菌計五十種の遺伝子特定を開始した。  既に病原菌にとって有害な物質を体外にくみ出すポンプを多数作り出す遺伝子など、突然変異で薬剤耐性を持つようになった十以上の遺伝子を特定できた。  実際に抗生物質の働きを阻害するのは遺伝子から作られるたんぱく質。このため特定した遺伝子のたんぱく質を解析し、結合して働きを抑える化合物を作成する。耐性菌のある抗生物質や医薬品候補化合物の構造改良で対応できるため、効率的な開発ができる。  病原菌は抗生物質などへの耐性を持つと、急速に蔓延(まんえん)する場合がある。明治製菓は感染例がまだわずかな耐性菌に有効な抗生物質を開発、蔓延する前に治療法を確立していく。  明治製菓は連結売上高三千五百八十八億円(二〇〇一年三月期)の約三分の一が薬品事業。利益の五割強を抗生物質などで稼ぐ。抗生物質の国内市場は年間約四千億円。

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