メンバーインタビュー
2025.12.02
チームラボでは、Webアプリやスマホアプリなどさまざまなデジタルサービスのデザイン・開発を通じて、お客様の課題解決を行っています。多様な経歴を持つメンバーのなかで、今回はグラフィックデザインをキャリアの起点とし、現在は大規模プロジェクトでデザインチームをリードして活躍するメンバーに話を聞きました。
伊藤 祐春 / UI/UXデザイナー チームリーダー
・Swinburne University of Technology グラフィックデザイン専攻を2004年に卒業後、グラフィックデザイン事務所、Webデザイン会社で経験を積む。
・2015年チームラボに入った後は、多数のプロジェクトにデザイナーとして従事。
・イノベーション自販機「acure pass」、郵便局アプリ、成田国際空港公式サイト、大阪芸術大学サイトなどの案件を手掛ける。
- チームラボに入る前は、どのようなことをしていましたか?
学生時代に学んでいたのはグラフィックデザインです。当時はパソコン通信黎明期で、スマートフォンの登場はまだ先のこと。デザイナーといえばグラフィックデザイン、という時代でした。
卒業後は正社員だけでなくアルバイトなども含め、さまざまな仕事を転々としており、フリーマガジン編集部や印刷工場なども経験しました。デザイナーとして腰を据えて働きはじめたのは、とある京都の会社に自ら飛び込んでからです。少しずつWeb制作の案件が増えるなか、独学でWebデザインの技術を習得しながら制作を行っていました。
そうして「情報を伝えるデザイン」をある程度やりきった頃、東日本大震災が発生しました。その直後、安否確認や応援メッセージ、寄付を募るWebサイトなどが多数立ち上がりましたが、それらの要を担っていたのは、情報を形にするエンジニアです。デザイナーの出番はほぼなく、グラフィックデザインだけでは貢献できない領域があると知り、自分のデザインが「芯を食ってない」という無力感にさいなまれました。
しかし同時に、エンジニアだけのものづくりには「使いにくい」「見にくい」といった課題があることにも気づきました。私が本当にやりたかったのは、こういった「多くの人に使われるものをデザインすること」ではないか。またそのためには、エンジニアがすぐそばにいる環境が必要ではないか。そう考えるようになりました。
そんななか、たまたまチームラボのメンバーと知り合い、エンジニアが7割を占めていると聞いて興味を持ちました。加えて、エンジニアたちが夜な夜な集まって議論や試作に勤しんでいるという話を聞き、芯を食ったものづくりのために必要な熱量と環境があると確信して入社を決めました。
- チームラボに入ってから10年以上、一貫してクライアントワークを担当されています。ご自身の役割の変化をどのように感じていますか?
「多くの人に使われる」ことを軸として、一貫してWebアプリやシステム開発の案件にデザイナーとして携わってきました。
2、3年目からは、リーダーとなってレビューをする側に回ることが増えました。自分で手を動かす場面は減り、後輩の成果物に対するレビューやクライアントとの折衝、チームを率いて指示を出す仕事が7割、自分が手を動かす仕事が3割という形に変化しました。
この変化は、チームラボの案件が大規模化・複雑化していった時期と重なります。ナショナルクライアントが増え、予算規模も以前とは桁違いに大きくなっていきました。そういった大規模な案件では、デザイナー1人で対応するのは不可能です。複数人のチームで制作する必要があるため、私は彼らがスムーズに並走できるような座組を作ったり、ディレクションといった上流工程の仕事に、より深く入っていくことになりました。
この変化は、自身のやりたい「多くの人に使われるものをデザインすること」を、自身が中心人物となって実現していくスタイルであり、入社時の期待以上のことを実現できているなと感じています。
- 大規模プロジェクトのなかで、どのプロジェクトが特に印象的でしたか?
株式会社JPデジタルをクライアントとする、「郵便局アプリ・ゆうID・デジタル発券機」の開発プロジェクトです。アプリだけで2,000以上の画面をデザインしたほか、ユーザー側のマイページサイト、郵便局の店頭でお客様が利用する整理券発行機やサイネージ、窓口側の呼び出し管理システムなどのプロダクト開発も行ったプロジェクトです。私は主にクリエイティブの考案やUI/UXデザインを担当しました。
郵便局アプリ/ゆうID/デジタル発券機 (https://www.team-lab.com/japanpostapp/)
開発には4年かかりましたが、リリースから数年経った今でも「こうすればもっと良くなる」と感じる箇所を見つける度に、改善提案を行っています。クライアントからの意見も取り入れながら、より良いサービスへとアップデートし続けています。
- 規模も社会的インパクトも大きい案件をリードするにあたり、デザインにおいてどのような点を重要視していますか?
重要視しているのは、ユーザー視点・ユーザー理解とクライアントのビジネス理解です。デザイナーはタイポグラフィやUIコンポーネントといった職人的な領域だけでなく、ビジネス領域まで理解するのが大前提ですが、その際に必要なのは「なぜ?」を突き詰める姿勢です。「なぜそのデザインなのか?」という問いからはじまり、遡って答え続けていくと、必ずやそのサービスが生まれた理由、つまりビジネスの根源的な部分に辿り着きます。
それは、例えば銀行であれば「人間はいつから銀行的な営みをやっているのか?」という問いです。銀行業は紀元前3,000年頃から存在すると言われており、人々は安全だと信じられていた神殿に、宝飾品や穀物などを預けていました。「食べていくために必要なものを貯めたがる」という人間の本能的な衝動に基づいた行動です。預けるものが変わっても、「安全なところで貯めたい・守りたい」という根源的な心理は変わりません。
現代の銀行アプリであれば、この根源的な心理に則りながら、「資産を増やしたい」という人々の欲求を踏まえて、UIとしていかにニーズに応えて行くかを考えます。他の領域でも同様で、スポーツであれば「なぜ人は勝負事に熱狂するのか?」という人類共通の根源的な問いから考えはじめます。
大規模で対象者が多い案件では、この「全人類に共通する感覚」を拾い上げ、普遍的な使いやすさを担保することが特に重要です。この問いを追求する性格は、大規模案件を多く手掛けるチームラボだからこそ培われたものかもしれません。問いの追求は、クライアントワークの度に新しい知識を増やし、私自身の暮らしや視点にも変化をもたらしてくれています。
- 共通する感覚の反映が、デザインにおける肝といえるのでしょうか?
その通りですが、一方で、人はそこから逸脱することを楽しむ生き物でもあります。この「外す」部分が、ワクワクや楽しさといった感覚なのかなと。まずは「使いやすい、わかりやすい」といった普遍性を担保した上で、次に「どうやって外そうか」と考える。ここは、人がディレクションしなければできない領域だと感じています。
UIで外すとユーザビリティが悪くなるため、私はこれまでの知見を活かしてグラフィックや演出で表現しています。例えば写真ひとつにおいてもストックフォトは使わずに撮り下ろしたり、イラストでの表現を模索することも多いです。郵便局アプリでも、ゆうパックの箱に言及する際、写真は使わずに3DCGモデルを用いて表現しました。見慣れたものに演出を加えることで、ユーザーにも可愛らしさやおもしろみを感じていただけるのではないでしょうか。
こういった演出の引き出しを増やすため、本や雑誌、映画やミュージックビデオなどUIデザインと関係のない領域からネタを仕込んだりと、日々のインプットを大切にしています。このインプットはすべて、ユーザーに気分をアゲてもらうためと言えます。
- チームラボの働き方や環境で、伊藤さんが気に入っている部分はありますか?
「エンジニアがすぐそばにいる環境」は、入社時に期待した通りです。エンジニアと物理的に近い場所で働くことで、デザインに対する自分自身の考え方やアプローチの仕方に変化がありました。彼らが交わしている議論をSlackやミーティングで見聞きすることは、言っていることのすべては分からなくても、自分がやりたいことを実現する手段を熟知しておくために必要なことです。
- そのような環境に10年身を置くなかで、ご自身のなかでの変化もありましたか?
世間一般の認知では「ビジュアルをつくる人」という認識が強いデザインという仕事ですが、自分のなかでは、この10年で「考える仕事」としての本質に近づけてきたと感じています。アウトプットがビジュアルであるとしても、そこに至るまでに「なぜなのか」と思考を徹底的に深掘りできるようになったのは、「ロジックがあること」「具体性があること」がチームラボでは徹底的に求められるからです。物事を決める際に根源まで遡って考える必要があるからこそ、考える量が圧倒的に多く、そして深くなるのだと思います。そういった仕事を続けていけると、仮に明日突然デザインツールがなくなったとしても「私は紙とペンがあればデザインの仕事ができる」と言えるようになるはずです。なぜなら、思考することをデザインの本質としているからです。
- 最後に、仲間になってほしい方に向けてメッセージをお願いいたします。
チームラボはユーザーファーストを徹底し、使いやすく分かりやすいものをつくることを大前提としています。クライアントごとの特徴やその先のユーザーの特徴、傾向をきちんと把握し、過去の成果物のナレッジを活かしながら、毎回ゼロから最適解を目指す会社です。
クライアントもそこに価値を見出していただいていますし、そのために必要な予算を確保してくださっている。だからこそ、「あなたは何ができるのか?」をストイックに問われる環境であることも事実です。その分デザイナーとしての腕も上がりますし、本質的な仕事ができるようになるので、遍く求められる人材になれるはずです。
広く社会と接続できる機会を増やすのは、デザイナーにとって大切なことだと思います。大震災の時の私のように、自分の身を置く領域に限界を感じた時、今いる場所を飛び出してみたら、デザインを通じて社会にアプローチできる機会が広がるかもしれません。チームラボにはその環境があります。是非興味を持っていただけたら嬉しいです。
いかがでしたでしょうか?
今回のインタビューでは、チームラボのUI/UXデザインチームでチームリーダーを務める伊藤のインタビューをお送りしました。エンジニアと近い距離感で、様々な領域でのデザインと、社会実装の経験を積むことで、デザイナーとしてスキルアップしていきたい方、ぜひ一緒にチームラボのUI/UXデザインチームで働きませんか?
UI/UXデザイナー - 中途採用 - Recruit|チームラボ
www.team-lab.com
teamLab Design Systemを作らなかった理由と、デザイン思考の体系化について
https://note.team-lab.com
Schema by Figma 2022での登壇動画
『チームラボのデザインシステムと思考の体系化』
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