MEDIA

2014.03.07

「天神サイト」に、『チームラボと佐賀 巡る!巡り巡って巡る展』、チームラボ猪子

初の大規模展覧会を佐賀で開催中のチームラボが天神でも3/8にパーティ!てことで猪子寿之氏に再びインタビュー!

Q、なんと今回は佐賀県全体を“乗っ取って”、4会場を結ぶ大規模な展覧会を開催されるということですが、まずこれって一体どんな経緯で生まれた企画だったんですか?

A、経緯…はもはやもう良くわかんないんだけど(笑)、僕の知り合いで今回の仕掛人でもある友人が昔、佐賀で『コミニカ展(※2010年発足した佐賀を拠点とする若手作家のコミュニティ「team cominica」の企画展)』て企画やってて、2012年の時にはチームラボも参加して、そこに知事がいらっしゃって作品を見てもらえたのがきっかけと言えばきっかけかな。

Q、今回4会場に加えて、今話題の施設「武雄図書館」を含む5会場での展示となりますが、それぞれの会場と作品の間には、テーマやコンセプトって設定されたんですか?

A、まず最初の4カ所、は佐賀県から使ってくれって指定された場所だったんだけど(笑)、とはいえ調べていくなかで、今まで佐賀で自分が体験したエピソードが繋がっていくような感覚もあって。 まずチームラボとしては、「現代の僕らの創造性は、長く豊かな歴史や文化の連続性の上に成り立っている」という姿勢のもと、先人達の美術表現を、デジタルテクノロジーや新しい手法・表現を使って再構築して、その“連続性”を明らかにしていくことによって、自分たちの文化の本質的な部分に迫ることをやってる。「過去と今の連続性」を見ていくことで、どういう風に世界を捉えていたのかを知りたいと思ってて。
で今回まずその「過去と今の連続性」ってことで言えば、佐賀は、時間が止まってるんですよ。歴史ある東京でさえひたすら「今」に追われているなかで、良い意味で「地方」の佐賀は今に追われることなく時間が止まってる。からこそ、歴史の連続性がそのまま今も在るんですよ。

Q、なるほど。

A、でこの4会場も、やっぱそういう施設が建つところってだけあって、それぞれの場所自体にも意味があって。それと作品を繋げていく作業でした。

もっとも『佐賀県立美術館』はまず何より美術館だからっていうのもあって、大きい作品を3つ展示したんですよ。60インチ近くもある巨大なモニターを8枚使った作品とか、体育館くらいの空間に展示をしたりもして。ただこの場所ももともとは明治時代に維新の中心地のひとつとして役割を果たした場所で。
あの、佐賀ってホントにすごくて、今でも平気で鍋島藩の話とかが出てくるんですよ。東京いても徳川幕府の話とかめったに出ないでしょ?(笑)それくらい佐賀では歴史の連続性が今にもつながってて、なんか江戸時代末期のまま生きてるような。これ良い意味で、ですよ。
Q、他の会場はどうでしょう?

A、次の『佐賀県立九州陶磁文化館』は有田町。日本の磁器のはじまりであり、江戸時代にはハンパなく豊かだった街で、ここでは有田焼とかそういう陶器の「メディア(媒体)」としての特性に注目したんですよ。 当時から陶器には風景とか動物とか、日本の四季が感じられるような情景が書き込まれてて、陶器自体がひとつの小宇宙を表現してるみたいな。そういうメディアとしての特性から連想して、この会場では、そういう日本の四季だったり、小宇宙的に情景や感性をとらえたような作品を選びました。

『佐賀県立名護屋城博物館』のある場所は、豊臣秀吉の時代の朝鮮出兵時に、まさしく全国から武将たちが集まって一時的に20万都市になった歴史があって。そうやってこれから朝鮮半島に攻め込む前の武将たちの記憶から、この会場ではちょっとおどろおどろしいような、「死」と「生」の感覚が感じられるようなちょっと見方によっては怖いような作品を置いています。

武雄市の『佐賀県立宇宙科学館』では、ここは1,300年前からずっと温泉地として栄えてきた歴史と、いまでは日本でも有数にアグレッシブな都市になっているって表情と、あとここは子どもたちがたくさん来場する会場でもあるので、直観的に楽しめる、サイエンス寄りな作品を選んでいます。さらに5つ目の会場として加わった『武雄市図書館』では、ちょっとでも楽しんでもらいたくて、館内のサイネージをジャックする作品を展示しています。

Q,猪子さんからして、地方都市で仕事をやるときって、東京でやるときとは気構えとか何か、違いはありますか?あと、地方でアート企画をやるときには、その街や人に、どんな効果をもたらすことを期待して取り組まれますか?

A、地方都市の方がテンション上がる!(笑)。ま僕らはやっぱり「過去と今の連続性」を探ってて。今回もお客さんが5か所巡ることで、その土地ごとの生活に触れたり、生活のなかに残った文化を見つけて、“点”だったものを“面”に繋げて「連続性」が感じてもらえたら、とは思ってますよね。

Q、それこそ前回取材させて頂いた昨年11月以降も、シンガポールに香港にと、ほとんど“祭り”のような過密ぶりに見えますが、ご自身としてはこの状況をどう捉えてらっしゃいますか?

A、えー、どう捉えてるんだろう… でもまぁ僕、切羽詰ってるの好きだよすごく(笑)。

Q、あははは、タフですね!僕は前のインタビューのときにも思ったんですけど、今みたいに注目を集めるよりもずっと前から、チームラボのやってることの本質って実は変わってなくて、そういう意味では、ちょっと持ち上げてるようにも聞こえるかもしれないけど、時代が追いついてきた、と言って良い部分もあるんじゃないかって。

A、やさしいっすねー(笑)。でもまぁ最近は海外で色々展示させてもらえる機会をたくさんもらえるようになって、作品つくる機会も展示数も増えたから…。んー…、でも、どうかな…

Q、猪子さんとしてはあんまりそう大仰にとらえてらっしゃらず、目の前の球をひとつひとつ誠実に打ち返してたらこうなってた、みたいな感覚の方が近いですか?

A、そうかも。自分じゃわかってないのかも(笑)。

Q、いや、にしてもこの量とスピードでますます絶好調な猪子さんには結構圧倒されますよ。

A、ホントっすか?まだ全然やれますよ(笑)。もっとやりたいくらい。

Q、さすがですねえ。

(本文より抜粋)

天神サイト(西日本鉄道株式会社)
2014年3月7日(金)

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